翻訳料金の相場はなぜ分かりにくいのか?内訳を徹底解説
2026.02.24
update 2026.02.24

翻訳の外注を検討する際、多くの担当者が最初に直面する壁が「料金相場の不透明さ」です。
複数社から見積もりを取ると、 A社は10万円、B社は25万円といった具合に、倍以上の開きが出ることも珍しくありません。この価格差を見て、「高い方はぼったくりではないか」「安い方は品質に問題があるのではないか」と判断に迷ってしまうのは、実務担当者として至極真っ当な反応です。
しかし、翻訳料金の構造を分解してみると、その価格差には必ず「工程」と「リソース」の差という明確な理由があります。本記事では、翻訳料金の内訳を可視化し、担当者がコストの妥当性を判断するための基準を解説します。
1. 翻訳料金を構成する「3つの基本要素」
翻訳の見積書に記載される金額は、主に以下の3つの要素で構成されています。
翻訳単価(ワード単価・文字単価)
- 原文1文字、または1ワードあたりの単価です。
- 言語(英語、中国語、希少言語など)や、内容の専門性(一般文、技術文書、法務、医薬などの専門文書やクリエイティブ翻訳が必要な文書など)によって変動します。
工程費(作業プロセス)
- 翻訳後の「チェック(校閲・校正)」にどこまでリソースを割くかによって大きく変動します。
- 単純な翻訳のみ、ダブルチェック有り、ネイティブチェック有りなど、品質担保の仕組みに直結する部分です。
プロジェクト管理費(PM費)
- 進行管理、用語集の整備、翻訳者の選定、納品物のクオリティコントロールにかかる費用です。概ね全体の10%〜15%程度が一般的とされています。
翻訳会社によっては翻訳単価に工程費を含めていたり、プロジェクト管理費がかからないなど、価格構造は多岐に渡り、各社独自の料金体系を展開しています。
2. なぜ会社によって「価格差」が生まれるのか
見積額に大きな差が出る最大の要因は、「誰が、どのような工程で作業するか」の設計が会社ごとに異なるためです。
作業者のランクと専門性
翻訳者のスキルは一律ではありません。実務経験10年以上の専門翻訳者と、語学に堪能なだけのアルバイトスタッフでは、支払われる報酬(原価)が異なります。高度な専門知識を要するIR資料や契約書において、安価な単価を提示する会社は、「その専門性に合致したリソースを確保できているか」を慎重に見極める必要があります。
チェック工程の厚み
価格差が最も顕著に出るのがここです。
- 低価格帯: 翻訳者がセルフチェックして納品(またはツールによる機械的なチェックのみ)。
- 中・高価格帯: 翻訳者とは別の「校閲者(エディター)」が原文と照らし合わせてチェックし、さらに「校正者(プルーフリーダー)」が訳文としての自然さを確認する。
機械翻訳(MT)の活用有無
最近では「AI翻訳+人による修正(ポストエディット)」という手法も一般的です。これを「翻訳」として提案している場合、ゼロから人間が翻訳するよりも安価になりますが、仕上がりのトーンや正確性の限界を理解しておく必要があります。それでも近年の機械翻訳の精度はあがっており、用途に応じた最適なプロセスを構築することで、ぐっと活用の幅が広がります。
3. 見積書で確認すべき「3つのチェックポイント」
単に「総額」を見るのではなく、以下の項目が明記されているか、あるいは説明可能かを確認してください。
「標準装備」か「オプション」か
翻訳単価の中にチェック費用が含まれているのか、それとも別途「校閲費」として計上されているのか。ここが不明瞭だと、期待していたダブルチェックが行われないリスクがあります。
ミニマムチャージ(最低発注料金)の有無
数行のメール翻訳など極端にボリュームが少ない場合、単価計算ではなく「一律○円」という最低料金が適用されるのが業界の通例です。
付帯作業の有無
レイアウト調整(DTP)、図表の文字流し込み、用語集作成などが含まれているか。これらは後から追加費用として発生しやすい項目です。
4. コストは「リスク許容度」とのトレードオフ
翻訳料金が高いか安いかは、その文書が持つ「間違えた時のリスク」と比較して判断すべきです。
社内共有用の参考資料であれば、工程を削って低価格・短納期を優先する合理性があります。
対外的なプレスリリースや契約書であれば、重層的なチェック工程にコストを払い、誤訳や表現の不備によるブランド毀損・法的リスクを回避するのが本来の「経済的な判断」といえます。
見積もりを比較する際は、金額の数字だけを追うのではなく、「その金額で、どのような品質担保の仕組み(工程)を買っているのか」を翻訳会社に確認するようにしましょう。
Writer
テンナイン・コミュニケーション
テンナイン・コミュニケーションは、法人向けに翻訳・通訳サービスを提供しています。契約書・マニュアル・Webサイトなどビジネス文書の翻訳から、会議通訳、翻訳者・通訳者の人材派遣まで幅広く対応。企業の海外展開・多言語対応を支援します。 【Webサイト】https://www.ten-nine.co.jp/






