ChatGPTは翻訳業務に使えるのか?実務視点で検証
2026.02.17
update 2026.02.17

近年、ChatGPTをはじめとした生成AIの普及により、「翻訳業務はAIで代替できるのではないか」という声をよく聞くようになりました。
実際に、簡単な文章を翻訳させてみると、一定レベルの自然な訳文が返ってくるため、そう感じるのも無理はありません。
一方で、実務で翻訳を扱う立場から見ると、「使える場面」と「使うべきでない場面」が明確に分かれるのも事実です。
本記事では、ChatGPTを翻訳業務に使えるのかについて、実務の視点から整理・検証します。
目次
ChatGPT翻訳の特徴を整理する
まず、ChatGPTによる翻訳の特徴を簡単に整理します。
- 文脈をある程度考慮した自然な文章を生成できる
- 口語表現や説明文などは比較的読みやすい
- 専門知識が不要な一般文ではスピードが非常に速い
一方で、
- 用語の一貫性は保証されない
- 原文の曖昧さを「それらしく補完」してしまう
- 誤訳であっても自信をもって書いてくる
といった性質も持っています。
この特性を理解せずに使うと、実務では思わぬリスクにつながります。
ChatGPTが「使える」翻訳業務の範囲
実務上、ChatGPTが有効に使えるのは、次のようなケースです。
1. 内容確認や概要把握のための翻訳
- 海外記事の概要を把握したい
- 外国語メールの要点を知りたい
このような理解目的の翻訳であれば、ChatGPTは十分に役立ちます。
多少の表現揺れや細かい誤差が問題にならないためです。
2. 社内向けの下訳・たたき台作成
- 社内資料の参考訳
- 人が最終的に手を入れる前提の下訳
この場合も、使い方次第では工数削減につながります。
ただし、そのまま使わない前提であることが重要です。
ChatGPTを使うべきでない翻訳業務
一方で、次のようなケースでは注意が必要です。
1. 対外文書・公開資料の翻訳
- Webサイト
- プレスリリース
- 提案書・営業資料
これらは、表現の微妙なニュアンスや企業イメージに直結します。
ChatGPTは「それらしい文章」を作る一方で、意図しない表現変更や誤解を招く言い換えを行うことがあります。
2. 契約書・法務・技術文書
- 契約条件
- 技術仕様
- マニュアル
この領域では、用語の一貫性や厳密な意味の再現が不可欠です。
ChatGPTは文脈を補完する性質上、原文にない意味を付け加えてしまうリスクがあります。
実務で問題になりやすいポイント
翻訳業務でChatGPTを使う際、特に問題になりやすいのは次の点です。
- 同じ用語が文脈によって別の訳語になる
- 原文の曖昧さを勝手に解釈してしまう
- 誤訳であることに気づきにくい
これらは、「翻訳結果を誰が・どう確認するか」という体制がないと、表面化しません。
ChatGPT翻訳を実務で使うなら前提を整理する
ChatGPTは、翻訳業務を完全に置き換える存在ではありません。
一方で、使い方を限定すれば、実務を補助するツールとしては非常に有効です。
実務で使う場合は、次の前提整理が不可欠です。
- どの工程で使うのか
- 最終責任者は誰か
- 人のチェックを前提にしているか
この前提がないまま使うと、「翻訳したつもりでリスクを増やす」結果になりかねません。
翻訳業務におけるChatGPTの位置づけ
実務視点で整理すると、ChatGPTは次のように位置づけるのが現実的です。
- 理解・補助・下訳のツール
- 最終成果物を任せる存在ではない
翻訳の品質は、ツールそのものではなく、運用と判断で決まります。
ChatGPTもまた、その一部として正しく使い分けることが重要です。
AIと人の「いいとこ取り」で賢く使い分ける
これからのビジネス翻訳において、ChatGPTか人(翻訳会社)かという二択で悩む必要はありません。
大切なのは、両者の得意分野を組み合わせて、目的に合った最適な工程を設計することです。
もし、コストを抑えつつ一定の品質を確保したいのであれば、
AIが作成した下訳をプロの翻訳者が磨き上げる「ポストエディット」という手法は非常に有効です。
私たち翻訳会社は、こうしたAIと人間のハイブリッドな依頼をむしろ歓迎しています。
「この部分はAIで、ここはプロにしっかり確認してほしい」といった細かな使い分けの設計こそ、
専門家としての腕の見せ所だからです。 AIのスピード感と、プロによる信頼。
この両方をバランスよく取り入れることで、
ビジネスの加速とリスク回避を同時に実現していきましょう。
Writer
テンナイン・コミュニケーション
テンナイン・コミュニケーションは、法人向けに翻訳・通訳サービスを提供しています。契約書・マニュアル・Webサイトなどビジネス文書の翻訳から、会議通訳、翻訳者・通訳者の人材派遣まで幅広く対応。企業の海外展開・多言語対応を支援します。 【Webサイト】https://www.ten-nine.co.jp/






