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お話当番

ボールと友達

「は」と「が」は実に奥が深いと思います。このふたつについては昔から多方面にわたり考察が進められてきました。私も言葉を扱う職業のはしくれとして時折考えることがあります。

先日、病院に「キャプテン翼」が置いてあったので読んでみたところ、そこにあった翼くんの名台詞、「ボールは友だち」が目に留まりました。これは実に絶妙なバランスのうえに成り立つ表現ではないでしょうか。

たとえば、この表現に「が」を使ってしまうとどうでしょう。「ボールが友だち」となって、翼くんが実に寂しいやつという感じがします。「は」のままで前後を入れ替え、「友だちはボール」としてみても同じです。これまた実に寂しい感じがしませんでしょうか。遊ぶ相手がいないからボールと戯れているかのような。

「が」を使おうと「は」を使おうと、「ボール」という言葉に対する感じ方はさほど変わりません。むしろ、変わるのは「友だち」の方のようです。「ボールが友だち」と「友だちはボール」の表現の「友だち」は「友だちの誰々さん」といったような具体的な人を指しているように思われます。だからこそ、それが「ボール」という事実に必要以上に寂しい感じがしてしまうようです。これに対して、「ボールは友だち」の「友だち」は何かが違います。具体的に遊んでくれたりする人というより、「自分に危害を加えない性質のもの」という意味合いが強まっています。

このあたりをヒントに「は」「が」についてもっと精緻な理屈を導けそうな気がしていますが、あまり長々とやっても翼くんがかわいそうですので、この辺で終わりにしましょう。

(ボールすら友だちではなかった)矢島


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