英語の通訳や翻訳 人材派遣はテンナイン・コミュニケーション

母の知人が高島屋に「様」をつけるので、面白がって家じゅうで真似をしておりました。「今日は高島屋様に行ってきました」といった具合です。しかし、しばらくしてその笑いに免疫ができると、その奥様が高島屋に「様」を付けるに至った理由に思いを馳せる私がいました。若かりし頃に上京した女学生の目にはじめて映った高島屋。その溢れんばかりの高級感からくる感動体験。そんなことを思い浮かべてみると、思わず敬称をつけたとて誰が彼女を責められようか、という気がしてきます。
翻ってみて、私にそのような感動体験があったでしょうか。考えていると、駅前に高級スーパー、成城石井がオープンしたのを思い出しました。「値段はちょっぴり高いものの、近所のスーパーにはない商品群とそのおいしさは、まさしく敬称をつけるにふさわしいものではなかろうか」と、若かりし頃の私はそのように感じたわけでございます。そしていつしか、頭の中ではこう呼ぶようになりました。
「成城石井先生」。
それから何年もの時が流れ、その呼称に何ら疑問を持たなくなったころ。当時付き合っていた彼女の前でうっかり「成城石井先生」を口にしてしまったから大変です。ふたりで入ったスターバックス、うろたえがちに上の事情を説明する私の目には、一人の女性の愛情が冷めゆく様子がまざまざと感じられました。まもなく、彼女とは連絡が取れなくなりました。
「ぼくは君を愛していた。けれども、ぼくにとっては今も、成城石井は成城石井先生なんだ」
もう一度会えるのなら、こう伝えたい。少し甘酸っぱい思い出を振り返りながら、そんなことを考えておる次第です。
矢島
Copyright© 2012 テンナイン・コミュニケーション All Rights Reserved.